再婚した
久々にブログを書こうと思って開いてみたはいいものの、一行も進みません。
話題が「仕事」と「旦那」と「猫」しかないクソみたいな脳内です。
最近頭がぼんやりします。嫌いだった大人に徐々に近づいているかんじがして最悪です。
ツイッターであまり書けないので、のろけ話を聞いていただきます。
上記の「旦那」の話ですね。
端的に言うとオフパコ婚です。
前回の記事で、前夫が逮捕されて離婚したのは書いたと思います。１月８日が前夫の誕生日で、その次の日は全社挙げての大きなイベントの日でした。
直行で現地に向かわなければならなかったため、朝６時過ぎには家を出ました。前日に寝ている最中に起こされたのもあって、寝不足でボーっとしていました。
住んでいたマンションを出て、大きな黒いバンがすぐ近くの自販機の前に停まっているのが見えました。よく自販機の補充で車が停まっていることがあるので、朝早くから大変だと思ったのを覚えています。
駅を目指して歩いていると「吉尾ななさんですか？」と後ろから声をかけられました。振り返ると５、６人程の男の人たちが立っていました。一番細身で柔和な印象の男性が声をかけてきたのですが、正直めちゃくちゃ怖かったです。
終わったな、と思いました。海外に売り飛ばされるんだと思いました。健康な内臓を売られると戦々恐々としましたが、逃げ出す前に警察手帳を提示されました。声をかけられたときから手帳を出していたようでしたが、売り飛ばされると思って視界が狭くなっていたので気づくのが遅れました。
気付いてしまうと今度は警察手帳から目が離せません。視線はそちらに釘付けになっていましたが、お名前や階級等々の記載されていることは全く記憶に残らず、目の前の刑事さんがお話されていることもうまく頭に入ってきませんでした。しかし頭が働かなくても口は仕事をしていたようで、「吉尾ななです。主人ですか？」と自分が答えたのは聞こえました。
自分に警察の方がわざわざ会いに来るはずがないという考えが自然とあったのだと思います。同時に、何かあるとしたら前夫だと、考える前に口が答えてしまいました。
前夫は今家にいるかどうか、令状が出ていること、鍵を開けて家に入れてほしい等々お話されました。
児童買春と児童ポルノという言葉が上滑りして、何度も頭の中で繰り返してようやく理解ができました。
家の前まで警察の方々と行き、鍵を持って、何度も深呼吸しました。
大丈夫ですか？と声をかけられて初めて、過呼吸になっていることを知りました。
こわくてたまりませんでした。
その時に前夫との色々なことを思い出したような気がしますが、鍵を開けるときには何も残っていませんでした。
このとき腹をくくったのだと思います。前夫もおそらく逮捕されてからどこかの段階で腹をくくったのだと思いますが、私は一度ここで現実を見なければならないと思いました。
警察の方々に前夫を任せ、会社の名刺と私用携帯の電話番号を渡して仕事へ向かいました。心底疲れていましたが、仕事は仕事です。
自分が招待した取引先様もいらっしゃるのに弱音は吐けないと思いましたし、何より、これから先は自分ひとりで生きていかなければならないと強く感じていました。このまま、今まで通りなあなあで許してしまってはカスみたいに残っていたなけなしの矜持が自分自身を絶対に許さないだろうと思いました。
メンタルがおかしいと以前からよく言われていました。どれだけ叩いてもヘラヘラ起き上がってくると言われたこともあります。
ですが、私にもキャパがありますし、前夫の逮捕の件は大分堪えました。しんどかったです。折れている暇もなく、仕事を休むわけにもいかず、頭がおかしくなりそうでした。
はじめ、友人にも相談はできませんでした。そもそも前回の結婚に心からおめでとうと言ってくれた友人はいませんでした。おまえを殴って泣かせて、借金もあるような人間のことをどうしても受け入れられないと正面切って言われたこともあります。
誰にも助けてとは言えませんでした。自業自得としか思えませんでした。
今思えばこれもまた友人たちを怒らせてしまうのですが、当時の私は前夫の罪の一端を自分が背負っているかのように思っていました。
前夫が逮捕された当日は、ツイッターで知り合った人とゲームする約束をしていました。
昨年の７月頃から就活の相談に乗ったり、ゲームをしながらお互いに相手のことをクソザコナメクジと言ったり、相手の大学の単位がやばいとか恋愛相談を聞いたりしていました。今思えばあまり自分の話をしなかったような気がします。
会社のイベントの後なので打ち上げもあるだろうと一旦は断ったのですが、打ち上げに出たら全部ぶちまけてしまうような気がして真っ直ぐ家に帰ってきてしまいました。
帰り際に大量に買い込んだお酒を飲みながら、いざ一緒にゲームを始めてみたはいいものの集中できませんでした。
笑ってほしいんだけど、と言って逮捕の話をしました。
どういう反応が返ってくるか怖かったのですが、いざとなったらツイッターのアカウントを消せばいいやとも思いました。知り合ったのは、お酒の勢いで作ったようなアカウントだったので、大して思い入れもありませんでした。
DMをするようになったきっかけはよく覚えていませんが、ゲームや漫画の話ばかりしていました。これが今の旦那です。
２０１４年頃には彼のことを知っていましたが、当時随分とキレッキレのツイートが多く、ざっと遡った限りでは失礼な話、頭がおかしくて捻くれた人なんだろうなという印象でした。多分中学生か高校生くらいのこじらせた子がやってるんだろうと思いましたし、将来はどういう人間に育つのかとも思いました。＠yoshio774のほうではフォローしませんでした。今後もフォローすることはないと思います。
精神が不安定で自分に甘く、早計で激しい情動のままに行動する人間という印象だったので、関わりたくなかったです。
前述のお酒の勢いで作ったアカウントですが、自分が今までに絶対にフォローしなかったであろう人たちをフォローしようと思い、旦那のイカれたアカウントもフォローしました。フォロー直後にリプライが来ましたが、期待を裏切らず最低だったのでむしろ嬉しく思ったのを覚えています。
実際DMしてみると会話のキャッチボールができるひとだったので感動しましたし、反省しました。自分に甘く、他人にも甘く、思ったら即行動できるというのは長所だと思いました。煽り耐性ゼロのひとなのでいじるとすぐにいじけるところが面白かったです。
自分に甘いのにも関わらず、浮気するやつは頭おかしいと言っていたところも矛盾しているような気がして、面白いと思いました。それでも自分なりの筋を持っているんだとも思いました。
通話をしながらゲームをしているときは専ら片思い中の相手のことと、大学の話をしてくれました。
最初は真剣に片思いしている相手の話を聞いていたのですが、あまりにもヘタレだったので後半はひたすら煽っていじめていました。「ぐずぐずしている間に、相手の女の子が他の人と付き合って、セックスしてるとこ想像してみなよ。死ぬほど嫌じゃないの？」と最低なことを言うと半泣きになっていたのでゲラゲラ笑いました。このときはまだ実際に会ったこともなく、前夫と離婚前だったので、この発言のせいで後々足元を掬われるとは思っていませんでした。
前夫が逮捕されてしばらく、旦那がゲームしているときにお金がないと言い出しました。だっせーと返事をしました。
しかしよくよく考えてみれば、私も大学生の頃、前夫にお金を取られ、１週間食べられないときがありました。ひもじいというのは相当な苦痛です。公共料金が払えず諸々が止められてしまったとき、そのときのバイト先の店長や友だちが見かねてごはんを奢ってくれたり家に泊めてくれたりしました。周りの優しさで生き延びてきたようなものです。
対して旦那は友だちが少なく、助けてくれるひとが誰もいない状態です。うーわ、だっせーという気持ちと、かわいそうという気持ちで胸がいっぱいになりました。八割方前者の気持ちのほうが勝っていました。
ごはん奢ってと言うので、正直なひとだなと思いながら、いいよと答えました。
某日、ごはんを奢るために横浜のほうまで呼び出されました。
エビチリが食べたいと言うので中華街へ行く予定でした。
当日夕方、元町・中華街駅に着いて、改札を眺めていました。いつ来るんだろうと思っていたら、もう着いていると言うので方向音痴の私が動くより迎えに来てもらいました。
電話を繋ぎながら、自分の服装の特徴を伝えました。そういえば顔も知らないなぁとそのときになって思いました。
それらしき人が近づいてきたとき、素直に帰りたいと思いました。
旦那は体格が良く、どうしてか攫われて内臓を売られそうと思いました。体格差のせいもあり、抱え上げられたら一たまりもないだろうと不安になりました。
せっかく来てくれたネットの友だちを前に逃げ出すのも失礼だという気持ちで目を合わせて、愛想笑いをしました。社会人生活で身に付けた渾身の愛想笑いです。
これがダメでした。
彼に言わせてみれば、「ビビッときた」とか「マジで電撃が走った」とか「一目惚れ」ということらしいです。絶対に逃がしてはならないと思ったとのことです。
そこからの彼の行動は異常に早かったです。
まずは手を繋ぎ、エビチリを食べ、居酒屋に移動し、手を繋ぎ、告白をされて、ホテルに行きました。
はじめに駅の地下道を歩いている間に手を繋がれたのですが、ドナドナの気分でした。やっぱり内臓が目当てかと思いました。
告白されたくだりも覚えていません。離婚直後だったので、人生どうでも飯田橋と思っていました。クソビッチへの第一歩だ、その前に命が危ないかもしれないくらいに思っていました。重ね重ね失礼な女です。
手も繋いでセックスもして、ほくほくの旦那は、逃げられないうちに結婚して子どもを孕ませようと思っていたらしいですが、こちらはセフレになってしまったと思っているので彼の好きだ愛してるという言葉は一切耳に入っていませんでした。かわいそうですね。
彼のほうはどうやら「ぐずぐずしている間に、相手の女の子が他の人と付き合って、セックスしてるとこ想像してみなよ。死ぬほど嫌じゃないの？」という私の発言を覚えていたようです。言われたときは本気で傷ついたけど、その通りだと思ったし、早くしないとななさん本当に逃げちゃうでしょと、したり顔で言われたときは何となくイラッとしました。
「ななさんが俺のこと１ミリも好きじゃなくても、ななさんは『付き合う』って言質さえ取っておけば絶対に浮気しない。そういう人」と言いながら、自分はセフレではなく彼氏だと主張してきました。
付き合い始めてから、食べ放題のお店に行くために実家に車を取ってくるから一緒に行こうと言われました。お店は彼の実家から車で３０分程のところにありました。
実家に着いてすぐ、彼のお母さんが出迎えてくれました。少し話をして、お昼に食べ放題に行って、近くの海に行って、実家近くの大きな川で石投げをしました。楽しかったです。
彼のお母さんは、とても優しいひとです。
今日は泊っていきなさい、夕ごはん食べに行きましょう、旦那が女の子連れてきたのなんて初めてと喜んでくれました。前の結婚のときも思ったのですが、母親とはかくも優しくて温かいものかと感動しました。彼の妹ちゃんと弟くんも可愛らしかったです。彼が自分の家族を大事に思っていることは充分に伝わってきました。
家庭内で会話があるって素晴らしいですね。家族ってすごいですね。
家族にこれだけ優しいひとが私のようなバツイチに好きだとか、結婚しようとか言ってくれているのはすごいことだと思いました。前夫が逮捕されたときに一人で生きていくと腹をくくったのに、ここにきて彼の「結婚しよう」は非常に魅力的な提案に映りました。
こんなにうまい話があるか、とも思いました。
ただのゲーム友だちが離婚した直後に、急激に異性になってしまった。私の覚悟は追いついていないし、彼を守る準備もないし幸せにするだけのものを私は持っていない。そう思って女々しく長々と悩みました。
長々とは言いつつも、半日程考えた末に結論を出しました。
結婚するぞ。
よく考えてみたら、今の私に残っているのは健康な内臓だけです。もしこれが例えば結婚詐欺だとしても搾り取られるものは大してないし、例え今後浮気されても別にいいやと思いました。
彼は、休みの日には一緒に出掛けてくれるし、重い物も持ってくれるし、車道側に必ず立ってくれるし、炊事も苦手なのに一生懸命やろうとしてくれるし、掃除も雑だけどやってくれるし、洗濯も干し方がゴミだけどやってくれるし、何より私がやったことに対して必ずありがとうと言ってくれる。ごはんを作ったら全部おいしいと言って食べてくれるし、驚くほど童貞くさい。
考えれば考えるほど全てが良く見えました。
家事は下手だけど、苦手だったり下手なことを率先してやってくれるところが素敵だと思いました。童貞くさいところも好印象でした。
これ以上望むものはありません。むしろ出来過ぎていると思いました。
そして私がこうして悩んでいる間にも彼はさっさと結婚指輪を作るためにお店の予約をしていました。
離婚後１００日間は法律で再婚できないと決まっているのですが、ある日仕事から帰ってくると嬉しそうに婚姻届を渡されました。すごいなこの人と思いました。
妊娠しているのではないかと言ってきたのも彼でした。妊娠検査薬を買ってこようと言って、会計も払ってくれたのが怖かったです。陽性反応が出たのを見て嬉し泣きしながら抱きしめられました。真っ青な顔をした私に「反応が男女逆じゃない？」と笑っているのを見て、全く理解できませんでした。
何よりまず結婚もしていないのに妊娠してしまって、彼の御家族に申し訳が立たないと挨拶に伺うと、お義母さんに「ななちゃ〜ん♡ あたしおばあちゃんになるのね♡」と第一声で言われました。お義父さんには「俺もうジジイかよ」と笑われました。
大事な息子さんを傷物にしてしまったと言えば「逆よ、逆。ななちゃんは自分の体を第一に、何かあったらすぐママに言ってね」と言われて、どうしたらいいか分からなくなりました。堕ろすことは考えていなかったので、シングルマザーとしてどうやりくりしていくかを考えていたら、旦那は『世界でたったひとつの赤ちゃんの名前』と『初たまごクラブ』を買ってきました。結婚するぞと結論を出したのに私は、相変わらず逃げることばかり考えていました。
とはいえ、旦那からしてみれば子どももできたし指輪も出来上がりを待つだけ、逃げ道は塞いで万全の状態です。
婚姻届を提出して、マンションも買って、更に逃げられないように毎日魔法の言葉を言うわけです。
「ななさんは生きてるだけですごい」
常々、生きてるだけで褒められてぇなとは言っていましたが、実際言われるとどんな反応していいか分からなくなりますね。
全身が痒い。
そろそろつらくなってきたので、のろけ話は以上です。
およそ６０００文字ものクソみたいな話を聞いていただき、ありがとうございました。
総括すると、前夫が性犯罪で捕まって離婚した直後にオフパコ妊娠結婚した話でした。
おわり
