木枯らし1号
一時期、アパレルで販売のアルバイトをしていました。
主にメンズカジュアルゾーンで、接客したり、販売したり、発注したりしていたのですが、販売員もお客様も女性が多かったです。
メンズファッションに詳しくないので、よく分からないまま始めて、結局2万のポロシャツが1日に何枚も売れる理由がよく分からないまま辞めました。
営業中はメーカーから支給される服を着ていました。
婦人服も扱っているところだったので、その時期の新作を婦人と紳士の半々くらいでいただきました。
婦人服のほうにもヘルプで行ったことがありますが、あそこは戦場です。
そのくせ売っているのは羽衣みたいに心許なくて畳みづらいお洋服ばかりでした。
お値段も目ん玉飛び出ます。
女性率は紳士も婦人もあまり変わらないはずなのに、人間関係も随分と違うようでした。
こわかったです。
そのときに頂いた服をパジャマにしていました。
夏頃の引越しで出てきたのですが、紳士物ということで外に着ていくには少し抵抗がありました。
たしか2度目の制服支給のときのものだったと思います。
その後すぐにアルバイトを辞めてしまったので、1度も着ることなく終わりました。
紳士のSサイズがちょうどいいぶかぶかで、着心地も良かったです。
10月24日に木枯らしが吹きましたね。
私は網戸が外れてベランダに干してあった洗濯物どころではなかったのですが、木枯らし1号は私のパジャマを奪っていきました。
網戸は翌朝、朝帰りした彼氏が直しました。「網戸なら僕が何回でもつけてあげるから、せめて窓閉めてね」と言われました。
パジャマが帰ってくるかもしれないじゃんと返したら、「外から飛んできたものが万が一きみに当たったらどうするの」といつになく優しく言われたので照れました。
ずっとベランダから下の道路を見てました。
嘘です。
おわり。